E1

君はビオロムに連れられて、ガルの支配者アリオン王子の宮殿へ向かう。
君は徒歩、ビオロムは召使4人に担がせた、天蓋付きの輿に乗っている。
ガル市の大物の一人で、高名な魔術師でもあるビオロムが通ると、市民たちはサッと道を開ける。
〈王子〉の宮殿はガル市の北東、街全体を見下ろす小高い丘の上にある。
ガルの支配者は代々、〈王子〉の称号と〈アリオン〉の名を継ぐことになっている。
その血統を遡れば、ガル市をこの地に建設した海賊〈レンジャーズ〉の船長にたどり着く。
宮殿に着いてみると、〈王子〉は不在で、御座船の出港のため、港で自ら指図しているという。
それで、君達も今度は南下して、港へ向かう。
ビオロムは、「わしに無駄骨をさせおって...。」などと、ブツブツ文句を言っている。
港に近付くと、どれが〈王子〉の御座船かすぐに分かった。
他の船とは桁違いに大きく壮麗な、4本のマストを備えた白いキャラック船だ。
帆には王家の紋章である馬が赤く染められている。
船名を”荒馬号”という。
ビオロムが「陛下、探しましたぞ。」と声をかけると、こちらに振り向いた。
「おう、爺か。こんな所に来るとは、どういう風の吹き回しだ?」
アリオン王子は、着ているものこそ王族に相応しい豪華な衣装だが、よく日焼けして引き締まった体躯は船乗りそのものだ。
「陛下、今日は客人を連れて参りました。崖の下諸国一の勇者○○(君の名前)を紹介します。この者は陛下にお願いしたき儀があって、はるばるこの地まで参りました。」
そう言うと、ビオロムは君に後を続けるよう促した。
君は、〈王子〉への挨拶を済ませると、ふもと峠の砦とカザン帝国の〈死の軍団〉との戦いの状況を手短に伝え、最後にストーンヘッド卿から預かった封書を渡した。
アリオン王子は目を細めてその書面を一瞥すると、言った。
「お前達の置かれた状況はよく分かる。しかし、だからと言って、このガルがお前達のために帝国と戦う義理は無い。
我々もつい先ごろ、帝国の艦隊と大規模な戦闘があったばかりでな、正直にいうと、あの戦いはこちらの負けと言ったほうがよいだろう。
おかげで、近頃は配下の船長の中にも、俺の命令に服さぬ者も出る始末だ。
残った艦隊の再編成と規律の引き締めのため、明日は配下の全船長を集めて観艦式をすることにしている。
つまり、今はよその戦争に手を貸すような余裕は無いのだ。悪く思うな。」
そう言うと、アリオン王子は出港準備の指図に戻った。
「すまんな、役に立てなんだの。わしに出来るのはここまでじゃ。おぬしに良き風が吹くように祈っておるよ。」
ビオロムはそう言うと、自分の輿に乗って帰って行った。
途方に暮れた君も港を去ろうとすると、〈王子〉の配下の船員に呼び止められた。
「客人、〈王子〉から伝言がございます。『せっかくこの地まで来たのだから、もしその気があるなら、この船の客として歓迎するので、明日の観艦式を見ていけばどうか?』とのことです。如何いたしますか?」
〈王子〉の誘いを断り、ここから去るなら、D1へ。
観艦式に同行するなら、E5へ。
E2
君には海の底に沈んで魚の餌になる運命が待っている。
例え、君に水中で息をする能力があるか、呼吸をする必要がなくても、海の底に沈むので地上に戻るにはこの先何日もかかる。
この冒険を失敗したことに変わりは無い。
END
E3
何か様子がおかしい。
そう感じた君は警戒を怠らず、アリオン王子の背後からダガーを突き刺そうとした水夫の腕を掴み、ねじり上げた。
裏切りだ!
船上で、敵味方入り混じった乱戦になる。
敵の数が多くて、アリオン王子が斑髭と切り結ぶのを視界の隅で見ながら、君は3人の手斧を持った水夫の相手をしなければならなくなった。
それぞれのMRは36だ。
彼らと戦うこと。
生き延びたなら、E8へ。
E4
アリオン王子の後ろに立っていた水夫がいきなりダガーを抜いて、王子の背中を刺した!
王子はそのまま膝から崩れ落ちる。
あっと、思った時には君も後頭部を強く殴られ、視界が薄れていく...。
君の冒険はここで終る。
END
E5
君はアリオン王子の客となって”荒馬号”に乗り込んだ。
すぐに船は港を離れる。
帆は勢いよく風をはらみ、気持ちよく船を進ませる。
やがて陸は遠くなり、船の周囲はすべて海だけになった。
観艦式の合流ポイントには明日の夜明けごろに着くようだ。
アリオン王子に救援を断られたが、こうして行動を共にしていれば、説得するチャンスはまだあるかもしれない。
船の乗組員たちは気のいい陽気な者たちばかりで、君はすぐに打ち解けて互いに冒険譚やほら話などを話した。
やがて、日が沈み暗くなってきた。
砦に残してきた仲間たちを救うために君に与えられた3日間のうち、1日目がこうして終ろうとしている...。
船員たちと夕食をとった君は船に乗せてもらった礼として、夜を4分割した内の1番目の見張りを引き受けることにした。
大きな船なので、見張りは君だけではない。君は後部デッキから後方を見張る役目だ。
ここでサイコロを一つ振ること。
1が出たなら、ワンダリング・モンスターが出現する。
君の他に見張り役が3人いて、いずれもMR30として扱う。
ワンダリング・モンスターは君の持ち場に現れるので、第1戦闘ターンは君一人で対処しなければならない。
次のターンに仲間が助けに駆けつける。
5戦闘ターン戦っても決着が付かないときは、寝ている船員たちも起きてきて、大勢でモンスターを追い払ってくれる。
海洋のワンダリング・モンスター表に従い、対処すること。
生き延びたなら、見張りを交代し、君は眠りにつく。E7へ。
E6
君は高いデッキから海に飛び込んだ。
勢いで、海面から10フィートほど水中に沈み込む。
君はどんなものを身に着けているだろうか?
武器など手にしていたものと背負い袋や腰袋や財布はすぐに放して捨ててもいいし、持っていてもいい。
ただし、背負い袋や腰袋や財布を捨てるなら丸ごとだ。中身を選別している余裕はない。
鎧などの防具を水中で脱ぐのは不可能だ。
そして、真上に浮かび上がれば、海賊共の射撃を浴びることになる。
なるべく遠くまで潜ったまま、泳いで行かなくてはならない。
それに必要なセービング・ロールは3レベルを基本としよう。
そして、セービング・ロールのレベルに、君が素っ裸か腰布1枚程度ならそのまま、持ち物が君の限界重量の3分の1までなら+1、限界重量の半分までなら+2、限界重量以内なら+4、限界重量以上なら+6を加えること。
セービング・ロールにどの能力値を使うかは、君は泳ぎが上手なら器用度、力任せに泳ぎ切るなら体力度、必死に息を止めて頑張るなら耐久度のどれかを使っていい。
もちろん、泳ぎに関係するタレントを持っているなら、使ってよい。
また、君が水中で呼吸ができる種族であったり、そもそも呼吸をしていなかったり、魔法でそういうことができるのであれば、セービング・ロールをする必要はない。
生き延びたなら、F1へ。
E7
翌朝、集結ポイントの手前の地点...。

荒馬号に並走する船が見える。
荒馬号の倍ほどもある大きな黒い船で、メインの帆には2匹の鮫が互いに噛みつこうと輪になっている図柄が描かれている。
「あれは”共喰い鮫号”、海賊船だ。船長は”斑髭”と呼ばれている。」
舷側に立つ君のそばにアリオン王子が来て、そう言った。
「やつは俺のやり方に不満があって、観艦式には来ないと思っていたのだが、意外だったな。」
共喰い鮫号の甲板に立つ水夫が手旗で合図している。
「向こうの船で朝食に誘われたぞ。お前も一緒に来い。」
君も共喰い鮫豪号での朝食について行くことにする。
2隻は接舷し、渡り板が渡された。
君とアリオン王子、それに数名の護衛は共喰い鮫号に乗り込んだ。
「我が船に陛下をお迎え出来て光栄でございます。」
大勢の水夫と共に、船長が君たちを出迎える。
”斑髭”はその名の通り斑模様の髭を生やし、オーガーかと見間違えるほどの巨漢だ。
背丈は7フィートはありそうだ。それにでっぷりと太っていて、横幅もかなりある。
人間だが、本当にオーガーの血が混じっていても不思議ではない。
「ご苦労、”斑髭”船長。今朝は珍しい客を連れてきた。こちらは、○○(君の名前)、崖の下諸国の名高い戦士だ。」
アリオン王子は斑髭に君を紹介した。
「共喰い鮫号へようこそ、○○殿。あなたの席も用意させましょう。さあ陛下、こちらでございます。」
斑髭はアリオン王子を案内し、水夫たちも周囲についてくる。
ここで、君の知性度で基本レベルのセービング・ロールをすること。
成功なら、E3へ。
失敗なら、E4へ。
E8
君は目の前の敵を始末した。
アリオン王子を助けようとそちらに目を向けると、王子は剣技で斑髭を圧倒している。
アリオン王子は防戦一方の斑髭をデッキの手すりまで追い詰めると、その胸にカットラスを突き刺した。
「グフッ!」
斑髭は膝から崩れ落ちる。
かと思いきや?
「グハハハハハ。」
斑髭はアリオン王子の剣を胸に突き刺したまま、笑い出した。
アリオン王子はカットラスを引き抜き、二回、三回と切り付けたが、斑髭は全く平気なようだ。
「吾輩はレロトラー陛下に忠誠を誓い、不死身の力を賜ったのだ!そしてアリオン、貴様の首を献上し、ガルの王位を手に入れるのだ!」
君がさっき殺した水夫たちも起き上がる。
この船に乗っている全員が亡者のようだ。
君たちは切っても突いても死なない亡者の集団に囲まれている。
君たちの船”荒馬号”も攻められてあちこちから出火し、ヨロヨロと遠ざかっていく。どうやら舵が利かないらしい。
いまや、共食い鮫号の甲板上の味方で生き残っているのは君とアリオン王子だけだ。
このままでは、いずれ君たちも殺されてしまうだろう。
海に飛び込むしかない。
君は先にアリオン王子に海に飛び込むよう合図する。
その間、君は時間を稼がなければならない。
MR33の海賊5人を相手に1戦闘ターンだけ戦うこと。
生き延びたら、君も振り返って、海に飛び込む。E6へ。
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