今回が最終回です。
これまでの考察をふまえて、それっぽい?領地経営ルールを考えてみようと思います。
多少解釈を変えたり、数値を丸めたりしますが、ご了承ください。
1.領地
初期状態の領地はハイパートンネルズ&トロールズ(社会思想社版)のP66の次の記述を基本とします。
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小さな城(使用人50人程度)価格金10万違う規模で始めたい場合は調整してください。
領地10キロ四方と領民100人を含みます。
領民は6人家族で構成され17家族とします。ですから、正確には102人からスタートです。
使用人50人のうちから、6人家族の小作人を何家族かつくることができます。
[例]あなたは「雲ヶ谷郷」を治める領主です。あなたの領地は10キロ四方=100km2あります。
あなたの領地には17家族の領民が住み、あなたの直轄農地には6家族の小作人がいます。
使用人50人から小作人を引いた残りの人数があなたの家臣・召使いの数になります。ここでは家臣とは戦士・盗賊・魔術師などの冒険者の役割を持つ人々を差し、召使いとは市民を差します。
城と領地を運営していくためには、家臣の人数に対し、召使いの人数が2倍以上でなければなりません。
[例]あなたの城には使用人50人から小作人6家族36人を引いた14人の家臣・召使いがいます。あなたは4人の家臣を召し抱えることにし、残りの10人を召使いとしました。
通常のキャラクターを作るときと同じように家臣を作って下さい。召使いの能力値は特に決めなくてもよいです。MR5くらいでしょう。(戦闘力・・・たったの5か・・・ゴミめ。)
家臣の中から家令を任命してください。彼があなたの不在時に領地を統治します。一番能力が高い人物がよいでしょう。その他の家臣や召使いもそれぞれ従士や料理人など城での役割があります。
[例]あなたは家臣たちを作った結果、2レベルの戦士が一人と、1レベルの戦士が二人、1レベルの魔術師が一人できました。あなたは2レベルの戦士を家令としました。
2.収入
領民1家族につき年間7,000GP×税率の収入があなたに入ります。この中には領民の保有地からの税と彼らが賦役であなたの直轄農地を耕作した収穫が含まれています。そして、仲買人に売って現金化した後の価格です。あなたは領主として税率を決めることができます。
[例]あなたは税率を40%としました。17家族の領民から年間17×7,000×0.4=47,600GPの収入があります。
小作人1家族からは年間4,200GPの収入があなたに入ります。これは彼らがあなたの直轄農地で得た収穫を仲買人に売って現金化し、あなたが領主として彼らの衣食住と俸給を支払った分を差し引いたものです。
[例]あなたは6家族の小作人から年間6×4,200=25,200GPの収入があります。
領民と小作人からの収入を合計したものがあなたの総収入です。
[例]あなたの総収入は年間47,600+25,200=72,800GPになります。
3.支出
上位の支配者への税、献金、その統治への協力などで年間総収入の20%を使います。
[例]あなたはカザン帝国へ年間14,560GP支払っています。
寺社(トロールワールドの場合は魔術師組合も含まれます。)に年間総収入の10%を寄進します。
[例]あなたは「赤ローブ教団」と魔術師組合にあわせて年間7,280GPを寄進しています。
城と領内の維持費に年間総収入の10%を使います。これには城や橋などの修繕費や馬の飼い葉、祭日の費用などなどありとあらゆるものが含まれます。
[例]あなたは城と領内の維持費として年間7,280GPを使います。
家臣の俸給としてそれぞれのレベル×100GPを支払います。召使いの俸給はレベル×3GPです。
[例]あなたは2レベルの戦士一人と1レベルの戦士二人、1レベルの魔術師の家臣がいるので、それぞれ200GP、100GP、100GP、100GPで合計500GPの俸給を支払います。また、召使いが10人いるので合計30GP払います。
家臣・召使いに支給する衣服や装備として、年に2回、3d6×10GPを使います。人数が多くてサイコロをふるのが大変なら、期待値の一人当たり年間210GPをつかうとよいでしょう。
この中には、家臣なら武器防具(そして馬までも)を含みます。召使いは箒や包丁など必要とする仕事道具は何でも含みます。したがって、彼らはいつも万全の装備で仕事をすることができます。
[例]あなたは14人の家臣・召使いに対して、年間14×210=2,940GPを装備品に費やしています。
あなたと家臣・召使いは一人当たり年間470GPの食費がかかります。
[例]あなたと家臣・召使い15人分の食費は年間15×470=7,050GPです。
戦争が起こった場合などに臨時に傭兵を雇いたい場合や、名声のために高名な食客を招いた場合などは1日当たり彼らのレベル×1GPかかります。傭兵はこれを給金として受け取り、食客は優雅な滞在費として消費します。武器防具などは彼らが自前で準備します。
[例]あなたは傭兵として、1レベルの戦士100人を1ヶ月雇いました。
その費用は100人×1レベル×1GP×30日=3,000GPです。
傭兵や食客も食事が必要です。彼らの食料には1日1.3GPかかります。
[例]あなたは傭兵100人の1か月分の食料として、100×1.3×30=3,900GP分の食料を用意しました。
蛇足ですが、家臣や傭兵は人間もしくはそれに近い種族との戦争や、領地がモンスターに襲われた時の防衛戦に参加しますが、あなたのダンジョンやモンスターの巣穴への探索にはついていきません。
普通のいくさでは百戦錬磨の彼らでも、罠やモンスターがウジャウジャで100人中99人が帰ってこれないようなダンジョン探索は狂気の沙汰だと思っています。
そのような命知らずが必要なときは、迷宮探検家が集う酒場へ行くか、社会思想社版のトンネルズ&トロールズにあった雇い人のルールで雇ってください。
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4.年末の決算報告
年末に1回決算をしましょう。
まず、作況を見ます。1d6を振って収穫にかける係数を決めます。1か2なら不作(-10%)、3か4なら例年並み(±0%)、5か6なら豊作(+10%)です。
[例]1d6を振って6が出ました!今年の雲ヶ谷郷は豊作のようです。総収入は72,800GPの1割増しの80,080GPになりました!
次に領民の増減です。あなた(不在なら家令)の知性度か魅力度の好きな方でレベルを決めずにセービング・ロールを行います。そして、成功できたレベル×10%分の家族数が翌年から増えます。ただし、あなたが領民にかけた税率を10倍した数(端数切り上げ)+あなたのレベルがマイナスとなって補正されます。そして1レベルも成功しなかったか、1,2の目が出て失敗した場合は領民が逃散して家族数が10%減ります。(端数切り捨て)重い税率をかけたならそれだけ領民が逃げやすくなるということです。
[例]あなたは3レベルの戦士で魅力度は17です。領民に40%の税をかけたので、-(0.4×10+3)=-7の補正が付きます。ダイスの目は10が出ました。17+10-7=20で1レベルに成功しました。翌年から領民が10%増えて18家族になりました。(17家族×1.1=18.7家族)税率をもう少し上げていたら、領民が逃げ出していたかもしれません。あぶないところでした。
同じ要領で小作人の増減も行います。ただし、小作人には税率が無いので60%とします。小作人は領民よりも過酷な立場であることを表しています。
[例]あなたは3レベルの戦士なので、-(0.6×10+3)=-9の補正が付きます。ダイスの目は9でした。17+9-9=17で1レベルにも達しませんでした。小作人が逃げ出して、6家族×0.9=5家族(端数切捨て)になってしまいました。
あなたは小作人に土地の所有を認めて、彼らを領民に格上げすることができます。あなたの収入は減りますが、彼らの不満を和らげることができます。その際、小作人は土地代としてあなたに100GP払います。(毎年ではない。1度だけ)
[例]あなたは残った小作人5家族を領民にすることにしました。あなたは500GP受け取ります。そして小作人は0家族になり、領民はその分増えて23家族になりました。
だんだんとあなたの領内の人口は増えていくでしょう。
しかし、領民と小作人の家族はいずれも1家族当たり26エーカー=10.4ha≒0.01km2の農地を使用します。耕作可能地は領地の最大25%までとします。もちろん、領地によってこの値は変わるでしょうが、ゲームとしては25%と定めておきましょう。あなたが大魔法使いなら、ジャイアントやトロールを使役して大規模な土木工事を行えるかもしれませんが、森を切り開き、川や湖を埋めることは結局あなたの領地の資源が枯渇して、土地が弱っていくことになるでしょう。
[例]あなたの領地は10キロ四方=100km2なので、その25%は25km2です。25÷0.01=2,500家族(人口15,000人)が最大であなたの領内に暮らすことができます。
有能な家臣をさらに増やしたい場合は、あなたの魅力度でセービング・ロールを行って、成功したレベルまでのレベルの人材が集まります。このセービング・ロールには食客のレベルを足して補正できます。高名な食客を自領に招いていることはあなたの名声となるからです。
[例]あなたの魅力度は17です。そして1レベルの食客を城に招いています。ダイスの目は7でした。7+17+1=25で2レベルまで成功です。あなたの元に新しく2レベルの人材がやってきました。
家臣の2倍以上召使いがいなければならないルールを思い出してください。家臣が増えれば召使いも増えます。そしてそれだけ費用もかかります。
5.さらにゲームとして
年に1度の決算イベントを作ったついでに、もう少しゲームを完成に近づけましょう。
ちょうど最近、FT新聞の『悪魔よそれをとれ』完売御礼特別企画 『勝手にハウスルール(11/12)』の中で、べおさんが『幕間ターン』というものを提唱しています。これは3か月を1ターンとしたもので、冒険の合間に起きる出来事を処理するためのターンです。これを利用して3か月に一度起きるイベントのランダムリストを作ります。
2d6を振って下さい。
2:伝染病が流行する。領民と小作人の家族数が1d6/3(端数切り上げ)×10%減少する。(端数切捨て)
3:高貴な一行が君の領地に立ち寄る。歓待のため1d6×1000GP使う。
4:大規模なモンスターの集団が君の領地を襲撃する。
5:難民1d6家族が避難してきた。彼らを小作人として迎える。
6:平和だ!
7:平和だ!
8:平和だ!
9:モンスターの襲撃だ!領民が1d6家族減少する。
10:近くの領主と争いが起こる。
11:異国から商人がくる。彼との取引で1d6×1000GPの利益を得る。
12:自然災害(竜巻?大地震?)に見舞われる。今年の領内の維持費が10%増える。
モンスター集団の襲撃は「ウッズエッジ亭」などを参考に処理してください。
近くの領主との争いは大規模戦闘ルールで遊ぶきっかけになると思います。
いかがでしょうか?あなたの領地経営キャンペーンに使っていただけたら幸いです。
もちろん、あなたのアイデアを加えたり変更したりしてくださってかまいません。
できたら、そのアイデアを私にも教えて下さい。
良い冒険を!
甦る 究極のシミュレーションゲーム大全 Vol.1
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