例えば、目的地のダンジョンまで辺境の村から無人の荒野を旅して5日の場所にあるとか、よくある話ですよね。そういう時、皆さんはどうしていますか、あっさりと到着したことにして、すぐにダンジョン探索に入るのもよいですが、折角の人跡未踏の地ですから、旅の部分をしっかりと再現するのもよいのではないでしょうか?
はたして、あなたは目的地にたどり着けるでしょうか?
(2023.11.7 追記)
ふろふき大根さん、杉本ヨハネさんら2名の熱弁により、1日の移動距離を変更しました。また、それによる変更を受ける箇所についても修正を加えました。
旅の準備
旅は1日の旅程ごとに旅籠が点在する街道だけではなく、人跡未踏の地を旅する場合も考えます。したがって、食料や水は事前に準備していったり、道中の自然環境の中から採取などする場合もあるでしょう。
食料についてはすでにこのブログでも考察したことがありました。
そこでは1日に必要な食料は14重量点分としています。『トンネルズ&トロールズ完全版』(以下、ルールブック)では、「豪華な食料袋(基本的な1日分の保存食入り)」が15重量点です。これは「袋」入りですから、私のハウスルールでは食べられるものは14重量点分であると解釈します。つまり、「豪華な食料袋」15重量点か、市場で個別に買った食材または狩猟や採集で得た食べ物を14重量点分集めたものを1日分の食料とみなします。
種族によって1日に必要とする食料の量が違うと思いますから、人間を基準として体重にかける係数が食料にも適用されるものとします。すなわち、エルフは人間と同じ量の食料を必要とし、ドワーフはその2倍食べます。レプラコーンやフェアリーはずいぶん少なくて済むでしょう。他のモンスターに分類される種族も同様です。
ただし、ホブ、テメーはダメだ!ホブは大食漢というイメージがあるので、小さいにもかかわらず、人間と同じだけ食べます。(偏見)
種族や信仰、思想によっては食べ物の種類にも注意が必要かもしれません。例えば、私のエルフは肉を食べないことになっているので、あらかじめエルフ用の「食料袋」を準備するか、旅の途中でも狩猟は行わず、木の実や野草を採集して補給します。フェアリーはそこら辺の花の蜜か樹液でも吸わせておけば大丈夫です。(また偏見)馬やロバなどの荷役獣は基本的に道中に生えている草を食むので食料はいらないですが、砂漠や雪原などでは飼い葉を用意しなければならないかもしれません。
[例]あなたは人間の野伏せりです。あなたの他にドワーフの戦士「山の如きヴェイグル」、エルフの巫女「月のアグラレス」、ホブの盗賊「ドロボの息子ビンボ」を率いて、辺境の村から荒野を5日間進んだ先にある「悪夢の洞穴」を探検することにしました。往復とダンジョン攻略、それに予備の日をあわせて全部で14日間の行程と予測しました。「豪華な食糧袋」を14食分となると、210重量点になります。見事ダンジョンで財宝を得て帰ろうとしたときにも、まだ半分近く残っているでしょう。あなたはそれでは運べる財宝が少なくなると考え、また狩猟の心得もあるので途中で狩りをすることにして、食料を半分の7日分、105重量点だけ持っていくことにしました。ドワーフとエルフもあなたに倣って7日分の食料を準備します。しかし、ドワーフの食料はあなたの倍の210重量点もあります。怪力の彼の体力を維持するにはそれだけ必要なのです。エルフの食料はあなたと同じくらいですが、あなたから見てあまり美味しそうな食べ物には見えません。食いしん坊のホブは喰いっぱぐれることを心配して14日分の食料を背負い袋に詰め込みます。体が小さい彼ですが、体の大きな人間でも十分なほどの量があります。ホブの体力は低いので、いずれ上手いことを言ってヴェイグルに持ってもらうつもりでしょう。
水は1日あたり3リットル必要です。これにも種族の補正がかかります。ルールブックの「水袋/ワイン袋(容量1000ml)」は空で2重量点、満タンで40重量点となっていますが、これだと水の比重がおかしいので、水1リットルは1kg=22.2重量点として、満タンの水袋は24重量点にしたいと思います。1日分だとこれが3つで72重量点になります。片道5日で往復10日の旅程だと720重量点分もの水袋が必要になります。これでは他の装備や財宝をほとんど持てません。荷運び人や荷役獣を連れていないなら、現実的ではないですね。水袋はせいぜい2~3個にしておいて、途中で補給を考えるのがよさそうです。荒れ野や砂漠を旅する場合にどうしても水の補給ができそうにないなら、それこそ補助の荷運び人などがいないと無理です。あとは《初歩だよ》で頑張れば水を出せるでしょうか。「魔法のビヤ樽」でもあれば助かるのですが。
[例]1日に必要な水袋は3つ。満タンにすると合計72重量点になります。先ほどの食料に加えて、武器や鎧に道具類、それに財宝も持ち帰るつもりのあなたは水袋を3つだけにしました。他の仲間たちもあなたに倣います。ドワーフの水袋は1日分で6つ必要です。
その他、以前にルールブックの装備を便利にまとめたいの記事で考えた、「道具係装備」や「調理係装備」もパーティの誰か一人には持っておいてもらいたいです。これで薪を集めて焚火の準備など野営地を整えたり、食材を調理したりしましょう。
[例]あなたのパーティーでは「道具係装備」と「調理係装備」は体力自慢のヴェイグルが持っていきます。
移動速度
整備された街道を徒歩で旅する場合、1日(8時間移動する場合)で8リーグ=24マイル≒40km(1リーグ=3マイル≒5kmとします)道の無い自然の地形を進む場合はこの半分になります。馬に乗って移動するなら、1.5倍になります。荷馬車は街道では徒歩と同じ速度で、道が整備されていないなら、進むことができません。ロバなどの荷役獣は人間の徒歩と同じとします。
まとめると、以下のようになります。
街道(1日当たり) | 自然地形(1日当たり) | |||
リーグ | km | リーグ | km | |
徒歩 | 8 | 40 | 4 | 20 |
騎乗 | 12 | 60 | 6 | 30 |
荷馬車 | 8 | 40 | - | - |
これらの移動手段が混じっている場合は、当然一番遅いものに合わせることになります。また、高山地帯など極端な地形ではこれよりも遅くなるでしょう。
[例]「悪夢の洞穴」までは人跡未踏の荒野を行かなくてはいけません。道はありませんから、1日当たり徒歩で4リーグずつ進みます。「悪夢の洞穴」は村から5日間4リーグずつ進んだ場所、つまり20リーグ(約100km)の距離にあります。
地図を正方形のマスで区切る場合は、1マスの大きさを1リーグ四方(または5km四方)とし、つまりあるマスの中心からとなりのマスの中心への移動距離も1リーグ(または5km)とするとよいと思います。へクスマップ(6角形)の場合も同様に隣のマスへの移動は5kmとして使用しましょう。
ちなみに、このブログの記事T&Tにおける領地経営で扱った領地が10km四方であったので、2マス四方が領地経営の1単位となります。へクスマップの場合は正方形でなくなってしまいますが、6マスが100km2に近いです。大領主ならもっと広い地域を支配しているでしょう。
1日のタイムテーブル
旅をしている時の基本的な1日の流れを説明します。1日を4時間ごとの「日常ターン」に分けます。1日は6日常ターンに分割されます。
(2023.11.7 追記)
T&Tにおける領地経営 最終回でも使わせていただきましたが、この「日常ターン」はFT新聞の『悪魔よそれをとれ』完売御礼特別企画 『勝手にハウスルール(11/12)』の中で、吉理川べおさんが提唱する通常ターンよりも大きな時間をあつかうターンの1種です。この概念を得たことで、この移動/旅のハウスルールは完成したと言っても過言ではありません。
ターン | 時刻 | 行動 | |||
第1日常ターン | 0:00~4:00 | 野営中(休息、見張り) | |||
第2日常ターン | 4:00~8:00 | 野営中(休息、見張り、朝食、狩猟・採取) | |||
第3日常ターン | 8:00~12:00 | 移動(または狩猟・採取) | |||
第4日常ターン | 12:00~16:00 | 移動(または狩猟・採取) | |||
第5日常ターン | 16:00~20:00 | 野営中(休息、野営地設営、見張り、夕食、狩猟・採取) | |||
第6日常ターン | 20:00~24:00 | 野営中(休息、見張り) |
第1日常ターンと第6日常ターンは休息のターンです。この2つの日常ターンと第2、第5日常ターンを含めた4つの日常ターンのうち、2日常ターン以上休息を一晩の間に取らないと、次の日は睡眠不足となり、すべてのセービング・ロールの出目にマイナス1のペナルティが付きます。これは翌日も十分な休息を取らないと回復しないどころか、累積していきます。
野営中のターンは各ターン毎に「野営の遭遇表」(後述)で何かが起こらないか確認します。モンスターなどに襲われた場合、全員が寝ていると不意打ちになるので、見張り役をつけるとよいでしょう。見張り役は休息することができません。
第2日常ターンと第5日常ターンは休息ができ、見張りを必要とするところは同じですが、食事の準備と野営地の設営を必ず誰かが行う必要があります。ただし、これらは兼ねてもよいものとします。一人旅なら当然そうなりますね。食事は第5日常ターンに翌朝の分も調理しておき、朝は簡単に済ませるなどしているかもしれません。つまり、「食料1日分」と言っていますが、夕食と翌朝の分を差します。昼食はありません。現実の世界でも昔はそうだったらしいです。
食料を食べなかった場合、(または、1日分の食料に当たる14重量点分に足りなかった場合)は翌日は空腹を抱えて行動することになります。その場合、十分な食事ができるまでの間、能力値の回復が通常の半分のスピードになります。つまり、普段は1通常ターンに1点回復する耐久度以外の能力値が、2通常ターンかけないと1点回復しないことになります。翌日も食事ができないなら、それ以降は能力値の回復が止まります。
水については、その1日に何回にも分けて飲んでいるでしょうが、ゲーム上の処理として、その日の休息をする前に清算します。1日に必要な水3リットルに足りなかった場合は、翌日は耐久度が半分になりそれ以上には回復しません。翌日も水がないならさらに半分になり、累積していきます。水が得られれば耐久度の上限は回復しますが、失われた耐久度は通常のルールによってしか回復しません。
当然のことですが、河川や湖沼、湿地帯などを旅している場合は、水は容易に手に入ります。
望むなら休憩などの代わりに、狩猟・採集(後述)を行うこともできます。ただし、それを行うものは野営地から離れるので、野営地が襲われた場合に対処できません。
[例]あなたたちは今日の野営によさそうな場所を見つけました。ヴェイグルが火を起こして焚火をし、今日の夕食係も引き受けます。ビンボは見張りと称して、その焚火に当たっています。(幸いなことに、この時はモンスターは現れませんでした。)あなたとアグラレスはそれぞれ食べ物を探して辺りを調べに行きます。
第3日常ターンと第4日常ターンが移動の時間です。街道を徒歩で行く場合、1日(8時間)で8リーグ(または40km)ですから、1日常ターンで4リーグ(または20km)進むことになります。移動中のターンは各ターン毎に「移動の遭遇表」(後述)で何かが起こらないか確認します。
この移動時間は、食料や水が乏しくなってきた場合、狩猟・採集に充てることができます。この場合は移動しませんから、その分旅の日程が延びることになります。
(2023.11.7 追記)
往復する旅で、帰りのルートが行きのルートと同じ場合、水場など覚えておけば、帰りは水の補給の心配をすることなく進むことができます。狩猟の獲物は同じ場所でまた見つかるとは限りませんが、野草や木の実がとれる場所は、(GMが認めるなら)また食料が手に入るとしてもいいでしょう。
野営の遭遇表
2d6を振って下さい。そして以下の表を参照してください。
WM(ワンダリング・モンスター)に遭遇した場合は、今いる地形に相応しいワンダリング・モンスター表を使うとよいでしょう。
2D6出目 | 出来事 | ||||
2 | WMと遭遇。見張りは自身のレベルのLKSRで気が付く。そうでないなら不意打ち、1戦闘ターン一方的に攻撃を受ける。 | ||||
3 | WMと遭遇。見張りは気が付く。見張りがいない場合は不意打ち、1戦闘ターン一方的に攻撃を受ける。 | ||||
4 | WMと遭遇。見張りは気が付く。見張りがいない場合は不意打ち、1戦闘ターン一方的に攻撃を受ける。 | ||||
5 | 何も起きない | ||||
6 | 何も起きない | ||||
7 | 何も起きない | ||||
8 | 何も起きない | ||||
9 | 何も起きない | ||||
10 | WMと遭遇。見張りは気が付く。見張りがいない場合は不意打ち、1戦闘ターン一方的に攻撃を受ける。 | ||||
11 | WMと遭遇。見張りは気が付く。見張りがいない場合は不意打ち、1戦闘ターン一方的に攻撃を受ける。 | ||||
12 | WMと遭遇。見張りは自身のレベルのLKSRで気が付く。そうでないなら不意打ち、1戦闘ターン一方的に攻撃を受ける。 |
[例]あなたは第6日常ターンに見張りに立ちます。サイコロ2個振った結果は12です。幸運度のセービング・ロールに成功したあなたは、焚火の光が届かない闇の向こうで何かが動く気配を感じて剣を抜きます。暗闇に野犬の光る眼がいくつも見えます。あなたは急いで仲間たちを起こします...。
移動の遭遇表
2d6を振って下さい。そして以下の表を参照してください。
WM(ワンダリング・モンスター)が出た場合は、今いる地形に相応しいワンダリング・モンスター表を使うとよいでしょう。
2D6出目 | 出来事 | ||||
2 | 商人のキャラバンと遭遇する。ルールブックにあるものは何でも売ってくれる。物資や財宝を適正な価格(通常の品物は価格の50%、宝石、貴金属は価格80%)で買ってくれる。 | ||||
3 | WMと遭遇する。WM表を振ること。 | ||||
4 | 水場を発見する | ||||
5 | 水場を発見する(砂漠の場合は何もない) | ||||
6 | 何も起きない | ||||
7 | 何も起きない | ||||
8 | 何も起きない | ||||
9 | 水場を発見する(砂漠の場合は何もない) | ||||
10 | 水場を発見する | ||||
11 | WMと遭遇する。WM表を振ること。 | ||||
12 | 道に迷った。もう1日余分にかかる。 |
[例]第3日常ターンの移動中にサイコロ2個を振った結果4が出ました。幸運なことに、あなたたちは湧き水を見つけます。のどの渇きを潤したうえで、水袋すべてを満タンに出来ます。
狩猟・採集表
食料を探して狩猟・採集を行う者は自身のレベルで知性度か(狩猟系のタレント、あるいは今いる地形のサバイバル系のタレントは有効)または幸運度のセービング・ロールをしてください。成功なら何かを発見します。2d6を振って以下の表を参照してください。失敗なら手ぶらで帰ることになります。1日常ターンにつき1回だけ挑戦することができます。
2D6出目 | 出来事 | ||||
2 | 猪(または大トカゲ)、MRは狩猟者のLk+DEX+IQと同じ。襲いかかってくるので戦うこと。勝てばMRと同じ重量点の肉が手に入る。 | ||||
3 | 鹿(またはレイヨウ)、飛道具があるなら、至近に接近するためにDEX3SR、近距離ではDEX1SR、失敗は逃げられる。射撃は至近DEX3SR、近DEX5SR。追いかけて武器を使うならSPD3SR。20点以上のダメージがあれば仕留められる。ないなら逃がす。100重量点の肉が手に入る。 | ||||
4 | ウサギ(またはトカゲ)、飛道具があるなら、至近に接近するためにDEX3SR、近距離はDEX1SR、失敗は逃げられる。射撃は至近DEX3SR、近DEX5SR。追いかけて武器を使うならSPD3SR。5点以上のダメージがあれば仕留められる。ないなら逃がす。20重量点の肉が手に入る。 | ||||
5 | ウサギ(またはトカゲ)、飛道具があるなら、至近に接近するためにDEX3SR、近距離はDEX1SR、失敗は逃げられる。射撃は至近DEX3SR、近DEX5SR。追いかけて武器を使うならSPD3SR。5点以上のダメージがあれば仕留められる。ないなら逃がす。20重量点の肉が手に入る。 | ||||
6 | 木の実や野菜、茸などを手に入れる。SRに使用した能力値と同じだけの重量点の食料となる。 | ||||
7 | 食料は無かったが、水場を見つけた。 | ||||
8 | 木の実や野菜、茸などを手に入れる。SRに使用した能力値と同じだけの重量点の食料となる。 | ||||
9 | ウサギ(またはトカゲ)、飛道具があるなら、至近に接近するためにDEX3SR、近距離はDEX1SR、失敗は逃げられる。射撃は至近DEX3SR、近DEX5SR。追いかけて武器を使うならSPD3SR。5点以上のダメージがあれば仕留められる。ないなら逃がす。20重量点の肉が手に入る。 | ||||
10 | ウサギ(またはトカゲ)、飛道具があるなら、至近に接近するためにDEX3SR、近距離はDEX1SR、失敗は逃げられる。射撃は至近DEX3SR、近DEX5SR。追いかけて武器を使うならSPD3SR。5点以上のダメージがあれば仕留められる。ないなら逃がす。20重量点の肉が手に入る。 | ||||
11 | 鹿(またはレイヨウ)、飛道具があるなら、至近に接近するためにDEX3SR、近距離ではDEX1SR、失敗は逃げられる。射撃は至近DEX3SR、近DEX5SR。追いかけて武器を使うならSPD3SR。20点以上のダメージがあれば仕留められる。ないなら逃がす。100重量点の肉が手に入る。 | ||||
12 | WMと遭遇する。WM表を振ること。 |
[例]食料が乏しいあなたは狩猟・採集を行います。知性度に「狩猟」のタレントも加えてセービング・ロールに成功したあなたはサイコロ2個振って11を出します。鹿がいます!あなたは至近距離まで忍び寄り(DEX3SR成功)矢を射かけます。(DEX3SRに再び成功)見事鹿を仕留めたあなたは100重量点分の肉を手に入れます。これは人間の基準で7日分の食料になります。(100÷14≒7)
しかし、エルフのアグラレスは肉を食べないので、分けてあげることはできません。彼女は自身で野草や茸を見つけてきたようです。
いかがでしょうか?
これをやると、メインのダンジョンよりも結構厳しいことになるかもしれません。
食料と水は大事です。
よい冒険を!
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