はじめに
アークデーモン”ハーポポポポス”が再びこの世界に顕現した。
最初の都市ジェブバーグは文字通り誰一人生存者は無く、街はすべて焼き尽くされ崩れ去り、黒い灰と毒の土だけが広がる荒れ野となった。
その後防衛に当たった都市や町や村も次々と同じように壊滅し、今では逃げようとする人々は難民となり周辺地域へ押し寄せている。
身の丈およそ120m、黒い影が人の形に集まり赤い稲妻を体表に走らせたハーポポポポスをもはや遮る者はおらず、その通った跡は生物の住めない呪われた土地となっている。
このままではこの世界そのものが地獄に変えられてしまうかに思われた。
生き残った魔術師達は”知識と驚異の城”に集結し対策を協議することとなった。
君もそこにいる。
魔術師の長老達は3日3晩の協議の後、君を含むすべての魔術師を大会議堂に招集した。
そこには魔術の10の学派すべての長老と君達一般の魔術師達およそ千人が集まった。
最大派閥の長にして、議長を務める大魔法使いセーモンが口を開いた。
「諸君、アークデーモン”ハーポポポポス”による被害は留まるところを知らず、こうしている間にも多くの命が失われていっておる。
推定モンスター・レートは100万、いかなる軍隊でも止めることは出来なかった。
しかも、あの悪魔には我々が使う魔法の呪文は一切効果が無い。
レベルの強弱に関わりなく魔法そのものが無効にされてしまうのだ。
これではいかに魔術の神髄を極める我々でも手の出しようが無い。
しかし、古文書の中に手掛かりを見つけた。
およそ5千年前にもあの悪魔はこの世界に現れておったのだ。
その時も世界に甚大な被害を及ぼしたらしい。
しかし、世界は滅びなかった。
その時代の大魔術師ムカシノヒトデスが唯一あの悪魔に効果のある呪文を作り出し、やつをこの世から追い払ったそうだ。
だが、それがどのような呪文であったのかまでは伝わっておらぬ。
我々はその呪文を見つけ出さねばならぬ。
伝説では魔術師ムカシノヒトデスはハーポポポポスを撃退した後も研鑽を続け、ついには異なる次元界への移動手段を得てこの世界を去ったようだ。
しかし、この世界には魔術師ムカシノヒトデスが残したものと思われる遺跡が3か所ある。
一つは北の氷雪地帯の果てにある”凍結山”。
もう一つは東の沼沢海にある”失われた記憶の島”。
残る一つは西のラバロ砂漠のどこかにあるという”幻の寺院”だ。
これらを探索し呪文の手掛かりを見つけ出すのだ。
そこで長老会議では、我らの中から知恵と胆力に優れた相応しい者を選び、この探索に送り出そうと決まった。
選定の方法はこれだ。アーティファクト”英雄を探せ!運命のドキドキルーレット”だ!」
大魔法使いセーモンは懐から少しよじれた麻ひもに吊るされたダーツの矢を取り出した。
「さあ、運命の女神シェヴィティよ!われらの中からこの任務を全うし世界を救える者を指すのだ!」
ダーツはクルクルと回り出した。その場にいた全員がゴクリと唾を飲み込んだ。
やがてダーツは君の方を向いてピタリと止まると、その先端から緑の光線が飛び君の額に当たった。
「おお、運命の女神はそなたを選んだ。」
「しかし、議長。こやつは低位階の若輩者ではないですか。こやつにそんな大役が務まるとは思えません。」
「そうだ。そうだ。」
他の魔術師からヤジが飛ぶ。
「黙らんか!」
セーモンは手にした杖で床をドンと付くと落雷のような大きな音がして、他の者を大人しくさせてしまった。
「アーティファクトのお告げに間違いはない。わしは信じておる。若き魔術師よ。頼んだぞ。」
こうして君の世界を救う探索の冒険が始まった。
ルール
このソロ・アドベンチャーを遊ぶにはトンネルズ&トロールズ完全版が必要です。
このソロ・アドベンチャーはプレイヤー・キャラクターの合計ヒットを30と設定しています。
ここから外れるキャラクターを使っても構いませんが、この数値から10外れる毎に敵の合計ヒットに1d6+6を増減して下さい。あるいは単純にMRを10増減しても構いません。
敵が複数である場合は上手く割り振って、とにかくバランスを調整して下さい。
戦闘による冒険点を得る際は文中にあるMRなどの他に、その10単位の増減を加えてください。
セービング・ロールは文中で基本レベルとある場合、あなたのキャラクターの能力値でダイスの出目が7の時に成功可能なレベルを意味します。
例えばある能力値が25の場合は25+7=32で3レベルまで成功できるので基本レベルは3レベルになります。
能力値が低すぎてダイスの出目が7では1レベルにもとどかない?
残念ながら最低でも1レベルが必要です。
さらに、基本レベル+1とある場合は一つ上のレベルということになります。
せっかく高能力値のキャラクターなのに英雄的な行動に失敗するかもしれないとご不満に思うかもしれませんが、ゲームとして楽しめるようこのようなルールにします。
タレントによるボーナスやどこかで手に入れたセービング・ロールを有利にする魔法の品がある等の場合までは制限しませんので、ご自由に楽しんでください。
役割は魔術師専用です。
魔法については、戦闘時に戦闘用の魔法の効果を各自で判断して下さい。その他の魔法については文中に出てくるものしか使用できません。
種族は人間、エルフ、ドワーフ、ホビットを想定しています。あまり小さすぎる種族や人間社会に受け入れられないような怪物は使用するべきではありません。せいぜい”品の良い”半オークぐらいまでとしましょう。
魔法の武器、防具は持ち込んで構いませんが、特殊な効果の魔法の品、例えば、ドアのカギを開ける魔法の品や空を飛べる魔法の品は使用できません。ただし文中に魔法が出てきた際にそれと同じ効果のある魔法の品を持っているときは想像力を働かせて魔法の呪文の代わりとしても良いでしょう。
魔法の回復薬を持っているなら、好きな時に使って下さい。
特に記載のない場合、体力度や魔力度は1パラグラフにつき1点ずつ回復します。(戦闘中でなければ)
タレントの適用の判断についてはあなたの裁量で処理をお願いします。
冒険に出る際は適切な装備を持って出るようにして下さい。ルールブックから装備をそろえると良いでしょう。
ワンダリング・モンスター表を参照するよう指示する場合があります。対象のページへのリンクはありますが、行った先に戻るリンクは無いので工夫してください。
ワンダリング・モンスターの強さはバランスを取っていないので先ほどの強さの調整は必要ありません。
そのかわり、強すぎるモンスターに出会ってしまったときは諦めて、覚悟を決めて戦ってください。
ワンダリング・モンスター表で何か財宝を得た場合は宝物表で何を見つけたか決定してください。
仲間
今回は人間の戦士が2人護衛としてあなたに付きます。
名前はビルとチャーリーです。双子のようによく似ています。
2人とも同じ能力で武器としてショートソードを持ち、個人修正と合わせて(4d6+6)の戦闘力があります。
ライト・レザーとバックラーで守りを固めていて合わせて6点の防御点を持ちます。
戦士ですので、必要に応じて2倍までダメージを防ぐ使い方をしてもかまいません。
耐久度は10点です。
戦闘時には彼らが前衛として敵と対峙しますので、あなたは彼らにまかせるなり、必要に応じて加勢したりして下さい。
つまり敵からダメージヒットを受けた場合は彼らに優先的にダメージを引き受けてもらうのも作戦としてOKです。
しかし、彼らが倒れてしまえば、変わりはいないので大事にしてあげて下さい。
彼らは寡黙なタイプです。冒険中は黙ってあなたについてきて、余計な口出しはしません。
それでは冒険を始めましょう。
A1へ進め。
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