今回はトンネルズ&トロールズで最も触れてはいけない領域である『ミニチュアを使った戦闘ルール』について考えてみましょう。
T&Tにミニチュアを取り入れる場合の問題点
ミニチュアと言えば、トンネルズ&トロールズ完全版ブック2の16.0アクセサリーの項目で触れられてはいます。
しかし、これを読んだだけでゲームにミニチュアを取り入れることは出来ませんよね。
なぜならば、T&Tの戦闘ルールは他のTRPGと違い、敵味方のヒットを合計して比べ合うというものだからです。
これをミニチュア同士が接している場合のみ近接戦闘が可能で、後は距離に応じて飛び道具や魔法で攻撃というルールにしてしまったら、戦闘のバランスが崩れてしまいます。
例えば強力な怪物1体と複数のメンバーのプレイヤーが戦う場合、怪物に接近できていない戦士は全く無駄になります。そうなると(飛び道具や魔法の援護はあるかもしれませんが、)接近できた戦士だけでその怪物と戦わなければならず、おそらくは歯が立ちません。
また、怪物からのダメージもその戦士一人に集中してしまいます。
これでは通常ルールの戦闘で十分に勝てる怪物が相手でも、プレイヤー側が各個撃破されてしまうでしょう。
もう1つ疑問があります。T&Tの戦闘ターンは2分と長いです。基本ルールには10秒でも20秒にしてもいいようなことが書かれていますが、2分が基本です。そうすると2分間にかなりの移動が出来るはずであるので、そもそもミニチュアで位置関係を表す意味が分からなくなったりします。
つまり、T&Tにミニチュアはどうも馴染まない感じがします。
それにもかかわらず、ゲームの作者であるケン・St・アンドレはミニチュアを使うことを、これまでに様々な所で推奨しています。
この記事ではそれらの記載を再確認し、また一つ参考になると思われるパソコンゲーム『カザンの戦士たち』でどのような処理がされているかを確認したいと思います。
トンネルズ&トロールズ完全版におけるミニチュアの記載
完全版には先にも述べた通り、ブック2の16.0アクセサリーの項目でミニチュアの使用について記載があります。
全文は長いので私が重要と考える箇所だけ抜粋します。
標準的な人間が占めるスペースはだいたい2.5センチ(1インチ)=現実の150センチになります。
この記載により、作者はどのようなスケールを考えているのか分かります。まあ、普通ですね。
白兵戦を行うキャラクターは、「後方から援護する」遠距離攻撃の仲間を守るために、意図的に特定の敵と交戦することができます。(中略)しかし同時に、戦士が行動不能になっていたり、仲間の多くから引き離されてしまった場合、コマの配置によってそれが明らかになってしまいます。(中略)パーティの複数のキャラクターが隣接して同じ敵と戦っている場合、常に連携攻撃ができます。こうした連携については、GMが詳しい条件を決定してください。
この記載は、この記事の冒頭で私が疑問に思った状況をほぼそのまま許しているように思います。
つまり、強力な怪物を相手にする場合はプレーヤー側が不利になります。
これではプレーヤー側が勝てないので通常よりも弱い怪物に調整する必要がありそうです。
でも、それだと何かつまらないですね。
つまり、強力な怪物を相手にする場合はプレーヤー側が不利になります。
これではプレーヤー側が勝てないので通常よりも弱い怪物に調整する必要がありそうです。
でも、それだと何かつまらないですね。
プレイヤーとNPCはその戦闘ターンに移動しないか、1~6マス移動するかを宣言します。1d6を実際に振って、その出目の数だけへクスをじっさいに移動します。
この記載は戦闘ターン中の移動距離が各自の速度の能力値によらず、一定のルールで表されるということですね。その他にも戦闘を離脱する際のことなど記載は続きますが、ここでは割愛します。
トンネルズ&トロールズ第5版(社会思想社版)におけるミニチュアの記載
この版にもパート3追加ルールの中に「3 ミニチュアについて」という項目があります。
しかし、ここにはルール的な記載は全くありません。
けれども、注目すべき一文があります。
トンネルズ&トロールズ第5版(社会思想社版)におけるミニチュアの記載
この版にもパート3追加ルールの中に「3 ミニチュアについて」という項目があります。
しかし、ここにはルール的な記載は全くありません。
けれども、注目すべき一文があります。
『トンネルズ&トロールズ』はもともとミニチュアをつかうことを考えて作られたゲームではありませんし、率直なところ、いまでもちがいます。しかし、ミニチュアを使えば、ゲームはもっとおもしろく、楽しくなるのはまちがいないでしょう。
はっきりと、T&Tにミニチュアは馴染まないことを認めています。しかし、ミニチュアを使えばもっとゲームはおもしろくなる。これこそが、この5版にも、そして完全版にもわざわざ項目を作ってまでミニチュアに言及する理由ではないでしょうか?
トンネルズ&トロールズ第7版におけるミニチュア
日本語版のトンネルズ&トロールズ第7版にはミニチュアに関する記載はありません。しかし、以前に紹介した30th記念の缶入りバージョンには紙製のチップとフロアタイルが付属していました。
第7版においてもミニチュアで遊ぶことを忘れてはいないようです。
パソコンゲーム『カザンの戦士たち』の戦闘ではどうなっているのか?
パソコンゲーム『カザンの戦士たち』の戦闘ルールは正方形のマス目の上で敵味方のコマがそれぞれ順番が来たら行動する、いわゆるタクティカルコンバット方式です。
つまりミニチュアを使った戦闘と同じ事をコンピューター上で行っているのです。
このパソコンゲームのルールを参考にしたら、T&Tでミニチュアを楽しむルールが出来そうです。
ちなみに私が所持している物はX68000版です。
その他にPC-88版、PC-98版、海外のDOS版?等がありますが、戦闘ルールは同じはずです。(たぶん)
カザンの戦士たちの戦闘場面です。
どういうルールになっているかと言いますと、それぞれのSPDが大きい者から行動の順番が回ってきます。
そして、そのターンでまず移動して近接した敵に攻撃してダメージを与えるという流れです。
敵とヒットの比べ合いはしていないようです。
敵は敵のターンの時にこちらにダメージを与えてきます。
T&TというよりもD&Dとかソードワールドみたいな感じですね。
どうも参考にならないみたいです。
海外ではどうなの?
御縁あってケン・St・アンドレが管理するFacebookのグループTrollhallansに参加させて頂きました。紹介してくださった水波流さんには本当に感謝しています。
そこで思い切ってTrollhallansで質問しました。
おそらく、ネイティブスピーカーの人からは子供の英作文に見えるであろう英語力で、アイアムアニューカマーだから教えてプリーズという風に質問しました。
Trollhallansはトンネルズ&トロールズにおける最高学府、例えるならトンネルズ&トロールズのハーバード大のようなものですが(嘘)、みんな気さくないい人ばっかりで、複数の方からコメントを頂きました。
私のイメージでは向こうの人たちがT&Tをプレイしている場では大きなテーブルの上にミニチュアとフロアタイルが必ずあって、ああ、向こうの人たちはT&Tでミニチュア使うんだと思っていました。
しかし、T&Tはミニチュアで遊ぶには向いていないゲームであるというのが共通認識でした。
では何にミニチュアを使っているのかというと、日本でも深くルール考察をされる方々が言っておられることと同じく、「T&Tはダンジョンの地形など周りの状況を使って自分たちが有利になるように持って行って敵と戦うゲームである。そのための位置関係や状況をイメージしやすいように使うのだ。」とのことでした。
そういわれてみると、この記事の最初の方で私は完全版ルールブックの記載をミスリードしていたかもしれません。もう一度見てみましょう。
たしかに、敵との位置関係の把握に使うものと読み取れますね。
もしかして、読者の皆さんもそんなこと初めから分かっていました?
私だけかなあ?
トンネルズ&トロールズ第7版におけるミニチュア
日本語版のトンネルズ&トロールズ第7版にはミニチュアに関する記載はありません。しかし、以前に紹介した30th記念の缶入りバージョンには紙製のチップとフロアタイルが付属していました。
第7版においてもミニチュアで遊ぶことを忘れてはいないようです。
パソコンゲーム『カザンの戦士たち』の戦闘ではどうなっているのか?
パソコンゲーム『カザンの戦士たち』の戦闘ルールは正方形のマス目の上で敵味方のコマがそれぞれ順番が来たら行動する、いわゆるタクティカルコンバット方式です。
つまりミニチュアを使った戦闘と同じ事をコンピューター上で行っているのです。
このパソコンゲームのルールを参考にしたら、T&Tでミニチュアを楽しむルールが出来そうです。
ちなみに私が所持している物はX68000版です。
その他にPC-88版、PC-98版、海外のDOS版?等がありますが、戦闘ルールは同じはずです。(たぶん)
カザンの戦士たちの戦闘場面です。
どういうルールになっているかと言いますと、それぞれのSPDが大きい者から行動の順番が回ってきます。
そして、そのターンでまず移動して近接した敵に攻撃してダメージを与えるという流れです。
敵とヒットの比べ合いはしていないようです。
敵は敵のターンの時にこちらにダメージを与えてきます。
T&TというよりもD&Dとかソードワールドみたいな感じですね。
どうも参考にならないみたいです。
海外ではどうなの?
御縁あってケン・St・アンドレが管理するFacebookのグループTrollhallansに参加させて頂きました。紹介してくださった水波流さんには本当に感謝しています。
そこで思い切ってTrollhallansで質問しました。
おそらく、ネイティブスピーカーの人からは子供の英作文に見えるであろう英語力で、アイアムアニューカマーだから教えてプリーズという風に質問しました。
Trollhallansはトンネルズ&トロールズにおける最高学府、例えるならトンネルズ&トロールズのハーバード大のようなものですが(嘘)、みんな気さくないい人ばっかりで、複数の方からコメントを頂きました。
私のイメージでは向こうの人たちがT&Tをプレイしている場では大きなテーブルの上にミニチュアとフロアタイルが必ずあって、ああ、向こうの人たちはT&Tでミニチュア使うんだと思っていました。
しかし、T&Tはミニチュアで遊ぶには向いていないゲームであるというのが共通認識でした。
では何にミニチュアを使っているのかというと、日本でも深くルール考察をされる方々が言っておられることと同じく、「T&Tはダンジョンの地形など周りの状況を使って自分たちが有利になるように持って行って敵と戦うゲームである。そのための位置関係や状況をイメージしやすいように使うのだ。」とのことでした。
そういわれてみると、この記事の最初の方で私は完全版ルールブックの記載をミスリードしていたかもしれません。もう一度見てみましょう。
白兵戦を行うキャラクターは、「後方から援護する」遠距離攻撃の仲間を守るために、意図的に特定の敵と交戦することができます。(中略)しかし同時に、戦士が行動不能になっていたり、仲間の多くから引き離されてしまった場合、コマの配置によってそれが明らかになってしまいます。(中略)パーティの複数のキャラクターが隣接して同じ敵と戦っている場合、常に連携攻撃ができます。こうした連携については、GMが詳しい条件を決定してください。
たしかに、敵との位置関係の把握に使うものと読み取れますね。
もしかして、読者の皆さんもそんなこと初めから分かっていました?
私だけかなあ?
コメント
コメント一覧 (2)
"標準的な人間が占めるスペースはだいたい2.5センチ(1インチ)=現実の150センチになります。"
抜け落ちがあるように見えますので、そこに文脈から【一言】を補足↓
"標準的な人間が占めるスペースはだいたい【 60インチ 】=2.5センチ(1インチ)=現実の150センチになります。"
…というのが本来の記述したい内容ではないかと思いました。
もし私の思い違いならすみません。
雲ヶ谷 正運
がしました