scene-2199369_1920
トンネルズ&トロールズ用ソロ・アドベンチャー

ふもと峠の戦い(前編)

作 Shawn Cloudfall
訳 雲ヶ谷 正運

はじめに

カザン歴1101年、神の歯連峰。
カザン帝国の死の軍団は再び南部への侵攻を開始した。
迎え撃つのはクノール、コーストを中心とした南部諸都市の連合軍である...。

カザン帝国軍との激しい戦いで、気が付けば部隊は君を除いて全滅し、周りに味方はいなかった。
それでも君は迫りくる敵兵を切り払いながら、何とか味方の砦まで戻ることができた。
「開門!」
「○○(君の名前)隊長!ご無事でしたか。」
若い守備兵が君を迎え入れる。
「水をどうぞ。」
君は守備兵が差し出した水筒から水をがぶがぶ飲むとそれを突き返し、愛剣を掴んで厩の方へ向かう。
「お待ちください。騎馬は全騎出払っていて、もう軍馬は残っておりません。それにそのお体でまた出陣とは死にに行くようなものです。」
君を止めようと守備兵が追いかけてくる。
君は厩の中に唯一残っている軍馬を見つけると、鞍を付け始めた。
「いけません。それは城主様の愛馬です。」
君が馬に跨った時だった。
「待つのだ、○○(君の名前)よ。行ってはならん!」
厩の戸口に現れた偉丈夫はこの砦の主、ストーンヘッド卿だった。
「オーバーキル城が陥落した。マリオナルシス様も戦死した。」
オーバーキル城は難攻不落のはずだ。君にはにわかに信じられない。
「金で雇われれば何でもする輩が城に潜入して暗殺されたようだ。」
帝国は卑怯な真似をする。
「オーバーキル城が落ちた今、この砦は明日にも敵の本隊に攻められるだろう。我々はこの砦で籠城する。我々が盾とならねば、南部は帝国の蹂躙するがままとなる。我々はマリオナルシス様の志を継がねばならんのだ!」
しかし、砦に隠れて生き恥をさらすことは、君にはできない。
君は馬に拍車を当てようとした。
「ならん!」
ストーンヘッド卿は馬の手綱をグッと掴んで制止した。
「今は耐えるのだ。生きてこそ得ることのできる栄光をこの手に掴むまで、その命わしが預かる。いいな。」
尊敬するストーンヘッド卿にそこまで言われては従うしかない。
君は出撃を諦め下馬した。そして、膝を地面についてストーンヘッド卿に剣を差し出した...。

誰の目にもこの時すでにカザン帝国と南部諸都市の戦いの趨勢は決したかに見えていた。
だが、それは君の新たな戦いの始まりでもあった....。



ルール
このソロ・アドベンチャーを遊ぶにはトンネルズ&トロールズ完全版が必要です。
このソロ・アドベンチャーはプレイヤー・キャラクターの合計ヒットを120と設定しています。
ここから外れるキャラクターを使っても構いませんが、この数値から10外れる毎に敵の合計ヒットに1d6+6を増減して下さい。あるいは単純にMRを10増減しても構いません。
敵が複数である場合は上手く割り振って、とにかくバランスを調整して下さい。
戦闘による冒険点を得る際は文中にあるMRなどの他に、その10単位の増減を加えてください。
セービング・ロールは文中で基本レベルとある場合、あなたのキャラクターの能力値でダイスの出目が7の時に成功可能なレベルを意味します。
例えばある能力値が25の場合は25+7=32で3レベルまで成功できるので基本レベルは3レベルになります。
能力値が低すぎてダイスの出目が7では1レベルにもとどかない?残念ながら最低でも1レベルが必要です。
さらに、基本レベル+1とある場合は一つ上のレベルということになります。
せっかく高能力値のキャラクターなのに英雄的な行動に失敗するかもしれないとご不満に思うかもしれませんが、ゲームとして楽しめるようこのようなルールにします。
タレントによるボーナスやどこかで手に入れたセービング・ロールを有利にする魔法の品がある等の場合までは制限しませんので、ご自由に楽しんでください。
役割は戦士を想定していますが制限はありません。
魔法については、この冒険で使用する機会はありません。
種族は人間、エルフ、ドワーフ、ホビットを想定しています。あまり小さすぎる種族や人間社会に受け入れられないような怪物は使用するべきではありません。せいぜい”品の良い”半オークぐらいまでとしましょう。
魔法の武器、防具は持ち込んで構いませんが、特殊な効果の魔法の品、例えば、ドアのカギを開ける魔法の品や空を飛べる魔法の品は使用できません。
魔法の回復薬を持っているなら、好きな時に使って下さい。
タレントの適用の判断についてはあなたの裁量で処理をお願いします。
冒険に出る際は適切な装備を持って出るようにして下さい。ルールブックから装備をそろえると良いでしょう。
ワンダリング・モンスター表を参照するよう指示する場合があります。対象のページへのリンクはありますが、行った先に戻るリンクは無いので工夫してください。
ワンダリング・モンスターの強さはバランスを取っていないので先ほどの強さの調整は必要ありません。
そのかわり、強すぎるモンスターに出会ってしまったときは諦めてください。
ワンダリング・モンスター表で何か財宝を得た場合は宝物表で何を見つけたか決定してください。

それでは冒険を始めましょう。
A1へ。